口腔外科と聞き、まず思い浮かぶことは親知らずの抜歯ではないでしょうか？
虫歯の治療、被せ物、入れ歯の治療と並ぶ歯科治療の一つです。口腔外科では歯を抜く以外にも、口の中(口腔)、顎、顔面、ならびに周辺領域に生じる疾患を扱い、交通事故やスポーツなどにより生じた外傷、先天性の唇顎口蓋裂手術、顎変形症ならびに唾液腺疾患などの外科的疾患はもちろん、口腔粘膜疾患、神経性疾患、口臭症などの内科的疾患も扱っています。

粘膜疾患とは、口の粘膜（舌・頬・口蓋・口底・口唇・歯肉など）に、口内炎（びらん、潰瘍）などや、デキ物（良性腫瘍、悪性腫瘍　嚢胞）、アレルギー反応などが生じる疾患です。また舌痛症などの心因性疾患も含まれます。口腔内の粘膜は歯や飲食などによる刺激を受けやすく、また多くの常在菌が存在しているため、安静を保つのが難しいのが特徴です。そのため症状が変化しやすく、診断が困難な場合があります。腫れているのか、えぐれ（びらん、潰瘍）はないか、変色部位、硬さなどをチェックし場合には専門医による検査（細胞診、病理組織学検査）を施行し原因を突きとめ、的確な処置が必要となります。全身疾患との関連があれば皮膚科や内科などと連携し、薬物療法や対症療法を行なっていきます。
口腔内は唾液で保護されていますが、機械的・温度的な刺激に敏感のため飲酒や喫煙はハイリスクの因子になり得ます。特に喫煙者は非喫煙者に比べて口腔癌の死亡率が4倍に跳ね上がるなど、日頃の習慣が大きな影響を及ぼしているのです。口腔癌は早期発見、早期治療が大切になってきますので、毎月セルフチェックを行い、少しでも気になることがあれば診察を受けることが大切です。

顎、顔面、口腔に外的要因により生じた疾患を、顎顔面外傷といいます。歯が割れる・折れる・脱臼する。口腔内粘膜が切れる。顔の皮膚が切り傷、擦り傷など。顎顔面骨の骨折などが挙げられます。交通事故や様々な活動中の事故、生活の中での転倒や打撲など、原因は多数です。機能性の問題もありますが、審美面での変化が大きな問題になりかねません。負傷箇所にもよりますが、早期治療で両面とも回復が望めますので早めの受診が大切です。